長年探偵業をやっていると、通常では予測出来ないような動きをする対象者に出会すことがある。
こういった対象者に出会すと、一筋縄ではいかず、調査目的を完了するまでかなり手こずらされることが多い。
警戒心の塊
まったく周りを気にせず無警戒の対象者もいるが、警戒心の塊のような対象者も中にはいる。
こういった対象者には、慎重に調査しなければ調査目的は達せず失敗に終わることになる。
消える対象者
浮気をしているのは確実だが、なかなか尻尾を出さない元◯察官の話。
本◯察官は、決まって休日は一人で出掛けるそうで、一人で外出するからには何かある!と鼻息洗い依頼者からの指定で、その日を調査することになった。
警戒心が強いということだったので、念のため調査員を多めに配置して、調査を開始してみると、あまり周りを気にしていないような感じがした。
が、電車に乗ると周りを確認しているのが隣の車両から見てとれたので、試しに乗り換えた後に調査員が同じ車両に乗ると上から下まで確認している様子だった。
人混みでは行き交う人々を全て確認しようがないが、電車などでは限られた人が同じ空間にいるので確認しやすい。対象者は同じ車両にいた人物が移動先でもいないかをチェックしていたのである。
またこの対象者は、曲がり角を曲がるたびに走り出し姿を隠すといった反則技もやってのけた。
この案件にはかなり手こずらされ日数がかかったが、なんとか証拠が撮れたのは奇跡だったのかも知れない。
突然下車
ある結婚詐欺師の男の話。この詐欺師は複数の女性から多額のお金を、あの手この手で根こそぎ取っていく男であった。
いつも女性を甘い言葉で騙してはお金を取っているからか、絶えず周りを確認しているような用心深さであった。
普段は電車を利用する詐欺師を、調査員複数名で尾行してみると、あまり人気のないホームでは、電車が到着すると一旦乗車するものの、発車間際に下車するといった行動を取られた。
初日はこの行動のお陰で、調査員は電車から降りられず、ホームに立つ詐欺師を横目に次の駅まで行ってしまった。
二日目からは、直前で降りるかもと予測しながら尾行してみるも、調査員が何人いても足りないくらいであったが、なんとか目的の行動が確認できた。
結婚詐欺に関わる案件は、やっぱり内容が内容なだけに、普段から警戒している対象者が多いかも知れない。
変装
お洒落なサラリーマンの浮気調査の話。この男性は洋服が好きで、休日にはよく買い物に出掛けていたようだ。
週末に「残業だから」と会社に泊まることが増えたもんだから、あやしさは満点である。
調査に入ると、早々に会社を出ると、近くで待っていた同僚(対象者が出る前に会社を出たのを確認していた)と合流すると、都内の繁華街やデパートで洋服を見て回っていた。
が、あるデパートに入るとトイレに入った、少しして二人が出てくると、服装が変わっていた。あまりにも雰囲気が変わっていたため、思わず二度見してしまった。服装だけで尾行していたら、たぶんトイレから出てきた二人はわからなかっただろうと思う。
二人はラブホに泊まると、次の日に出てくる時にはまた服装が変わっていた。どれだけ着替えるのだろうかと思ったが、もしかしたら二人の趣味が合っていたから浮気に発展したのかも知れない。
色々な行動をする対象者、こればっかりはどれだけ経験を積んでいってもなかなか読めないものなのかも知れない。
それでは、また。